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商号変更

                                                                  

会社の商号変更とはどういうこと

会社の商号とは、会社名のことをいいます。商号変更とは、会社名を変更することをいいます。例えば、「株式会社AAA」を商号といい、この商号を「株式会社BBB」へ変更することを商号変更といいます。

                                                                   

どんなときに商号変更が発生するのでしょうか

会社名を変更したときに商号変更が生じます。商号の変更は、株主総会の特別決議により定款に記載された商号を変更することにより、いつでも行うことが可能です。

どのような商号にするかは原則としては自由ですが、使用可能な文字(符号など)が決まっており、同一所在地に同一商号の会社を置くことや、不正の目的をもって他の会社であると誤認されるおそれのある商号を使用することが禁止されているなど、一定のルールがありますので、使用できる商号かどうかを確認した上で進める必要があります。

                                                                   

商号変更時に登記をしなくてはならない理由

会社法上、登記事項に変更があった場合、2週間以内に変更の登記を申請しなければならないと定められています。登記の申請をせずに放置してしまうと、裁判所から過料の制裁を受ける可能性があります。

また、商号は支店所在地の登記事項でもありますので、支店所在地の管轄法務局にも、変更から3週間以内に登記申請をする必要がありますので注意が必要です。

商業登記の制度というのは、商号や本店、事業目的、資本金、役員等、会社にとって重要な事項を公示することにより、会社の信用の維持を図り、取引を安全かつ円滑に行うことを目的にしているため、会社の実態に変更があった場合は速やかに登記簿に反映させる必要があるのです。特に商号はその会社を特定するのに最も重要な情報であり、常に取引先等の外部に示す情報であるので、速やかに変更登記をしなければ周囲は混乱し業務に支障をきたしてしまうでしょう。

登記には、用意しなければならない書類も多く、面倒な手続きではありますが、登記事項に変更があった場合に速やかに変更登記手続を行うことで、取引相手や金融機関からの信用にもつながりますので、きちんと変更登記手続を行うことが大切だと言えます。

                                                                   

登記完了までの流れ

商号変更の手続には株主総会の特別決議が必要になります。そして株主総会議事録や株主リスト等、必要な書類を整え、登記の申請書を作成し管轄の法務局に登記の申請をする必要があります。支店がある会社の場合、支店所在地においても変更登記を申請する必要があります。

また、商号の変更に伴い、法務局届出印(会社実印)を変更した場合には、改印届に新しい会社実印と代表者の個人実印を押印し、代表者の印鑑証明書とともに提出する必要があります。会社実印の変更は、商号変更をしたからといって必ずしなければならないわけではありませんが、商号が変更されているのに旧商号の印鑑の使用を続けるのは取引先の混乱を招く等不都合が生じることがありますので、通常は改印することが多いでしょう。

不備がなければ1週間ほどで登記は完了しますが、不備がある場合、再度法務局に足を運ぶ必要があります。

                                                                   

商号変更の登記を自分で行うことは可能?

商号変更の登記手続きは高度な専門的知識がそれほど必要な登記ではありませんから、時間を掛ければ自分で行うことは可能です。しかし、登記手続きを自分で行う場合には、かなり複雑な作業に戸惑うことは間違いありません。人によっては、自力で進めた場合、1ヵ月以上かかることもあるでしょう。

登記の手続きは、必要な書類一式を揃え、管轄する法務局の審査を受け、不備なく通す必要があります。申請書はどのように記載すればいいのか、収入印紙はいくらなのか、どこの法務局に提出するのか、申請書以外に必要な書類は何か、どの書類に何の押印が必要か、これらの情報はネットでも調べることは可能ですが、非常に膨大な情報となり、商号変更の手続きだけでも正確な知識を身に付けるのは困難です。

時間を掛けて調べても法務局の補正指示があれば、都度出向いて直す必要があります。実際にそれだけ手間のかかる作業でなければ司法書士に依頼する必要はありません。それでも、登記の知識は司法書士以外には本業で役に立つことはほとんどないでしょう。

ですから、自力で行うことは可能と言っても、必要以上に登記手続きに手間や時間がとられ本業に支障がでては本末転倒です。これらを踏まえた上で検討する必要があると言えます。

                                                                    

商号変更の登記を自分で行うメリットとデメリット

メリット

・費用を削減できる
自分で登記手続きをする場合、司法書士に支払う報酬は発生しませんので、費用を抑えることができます。

デメリット

・手続きに時間を割く必要がある
人によっては商号変更の登記手続きに1ヵ月程時間を割かれることもあるでしょう。必要な書類は複数ありますし、記載内容も決まったフォーマットがあるわけではありません。法務局とのやり取りや、手続きの流れを把握するだけでも想像以上に複雑な作業となります。

・法務局へ出向くケースもある
登記の申請手続きでは、法務局の審査は厳しいため、司法書士でも書類の不備で補正を受けることがあります。補正とは法務局による書類審査上で不備があった場合の通知です。補正通知があった場合は、内容によっては法務局に出向いて書類の内容を訂正する必要が出てきます。管轄の法務局によっては半日作業となります。

・詳しく調べても本業には役立たない

会社登記はもっぱら会社の基本的な事項を公示する機能となりますから、経営者であれば当たり前に把握している内容です。しかし、その登記手続きは専門性を極めており、本業ではほとんど使わない知識ばかりですから苦労して調べても見返りは非常に少ないと言えます。

・費用削減できるといっても頻繁に必要な手続きではない

会社登記は頻繁に必要な手続きではありません。そもそも会社の基本的なことが登記されているので、変更されないのが基本です。ですから費用削減の効果としては微妙と言えるでしょう。