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解散、清算人の選任の登記

            

会社における解散・清算とはどういうこと?

会社における解散・清算とはわかりやすく言えば、事業をたたむことを意味しています。例えば、業績の悪化により事業の継続が厳しい場合や、後継者が不在により会社をたたむなど、解散はケースバイケースと言えます。

会社を解散することで、それまで行ってきた営業取引をすべて停止し、清算人が就任することで会社財産の整理をするための活動を主に行うようになります。このような活動を清算手続きといい、営業行為の制限や、剰余金の配当の禁止など、清算の目的に反するような活動を行うことができなくなります。

            

どんなときに会社の解散や清算が発生するのでしょうか

会社の解散が発生する場合は、会社法に規定されています。

① 定款で定めた存続期間の満了
② 定款で定めた解散の事由の発生
③ 株主総会の決議
④ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合)
⑤ 破産手続開始の決定
➅ 解散を命ずる裁判

このうち、最も解散事由として多いのが③の株主総会決議による解散です。株式会社はいつでも、自主的に株主総会の決議を得て解散することができます。

ただ、会社の事業を廃止するには、単に解散の決議を行い、活動を停止し、営業取引等を行わなければいいというわけではありません。正式に会社をたたむためには、会社法に定められた手続きによって清算手続きを行う必要があります。

            

解散、清算時にも登記が必要です

会社を解散した場合には、会社が営業活動を停止し、清算手続きに入ることを公示するめに登記義務が発生します。このとき、取締役といった役職は当然に消滅し、代わりに清算人が就任し清算会社の役務を遂行します。

また、会社財産の清算がすべて完了した場合にも清算結了の登記義務があります。会社の最後の登記と言えるでしょう。

            

解散、清算人の登記をしなくてはならない理由

会社法では、会社登記簿の内容に変更が生じた場合、その変更日から2週間以内に登記を申請しなければならないと定められています。この2週間の期限を過ぎた場合を一般的に登記懈怠といい、その後に登記の申請をした場合、100万円以下の過料の制裁が課される可能性があります。

なお、2週間を過ぎて申請した場合に制裁が課されるかどうかは、審査する法務局・裁判所の裁量となっているのが実情です。しかしながら、いつ誰に課されてもおかしくありませんので、登記懈怠には十分注意が必要なことに変わりはありません。なお、2週間を経過した後でも登記手続きは問題なく受理されます。

遅れればそれだけ過料の負担が大きくなる可能性が増しますので、義務期間内に登記は済ませるように心がけ、既に懈怠している場合でも早めに手続きを済ませてしまいましょう。

            

登記完了までの流れ

株式会社の解散登記、清算登記の流れは大まかに4つのステップに分けることができます。

①解散事由の発生

前述の通り、株式会社は一定の事由により解散します。会社が解散した場合は、清算人を選任し、会社は清算手続き行う必要があります。

➁解散後の解散及び清算人選任の登記

書類を取り揃えた上で、登記申請書を作成し、一式をまとめて管轄の法務局へ提出します。通常、審査は1週間程度で完了し、登記事項証明書の取得が可能となります。これで株式会社の解散登記は完了です。

➂清算手続き

解散後の清算手続きは主に、税務関係の届出や、会社の資産・債務を整理し債権者への弁済をします。残余財産があれば株主への分配を行い、会社の清算結了に向けて決算報告書の作成を行います。

➃清算結了登記の申請手続き

清算手続きが完了し、決算報告書を作成した後は株主総会の承認を受けます。この承認をもって、ようやく会社は正式に消滅することになります。

解散登記と同様に、書類を取り揃えた上で登記申請書を作成し、一式をまとめて管轄の法務局へ提出します。無事登記が完了すれば、これをもって株式会社の清算結了登記は完了です。

            

解散・清算人の登記を自分で行うことは可能?

株式会社の解散・清算登記手続きは高度な専門的知識がそれほど必要な登記ではありませんから、時間を掛ければ自分で行うことは可能です。しかし、登記手続きを自分で行う場合には、かなり複雑な作業に戸惑うことは間違いありません。人によっては、自力で進めた場合、1ヵ月以上かかることもあるでしょう。

登記の手続きは、必要な書類一式を揃え、管轄する法務局の審査を受け、不備なく通す必要があります。申請書はどのように記載すればいいのか、収入印紙はいくらなのか、どこの法務局に提出するのか、申請書以外に必要な書類は何か、どの書類に何の押印が必要か、これらの情報はネットでも調べることは可能ですが、非常に膨大な情報となり、正確な知識を身に付けるのは困難です。また、必要以上に登記手続きに手間や時間がとられ本業に支障がでては本末転倒ですから、これらを踏まえた上で検討する必要があるでしょう。

            

解散・清算人の登記を自分で行うメリットとデメリット

メリット

・費用を削減できる
自分で登記手続きをする場合、司法書士に支払う報酬は発生しませんので、費用を抑えることができます。

デメリット

・手続きに時間を割く必要がある
人によっては解散・清算の登記手続きに1ヵ月程時間を割かれることもあるでしょう。必要な書類は複数ありますし、記載内容も決まったフォーマットがあるわけではありません。法務局とのやり取りや、手続きの流れを把握するだけでも想像以上に複雑な作業となります。

・官報公告の掲載などに手間がかかる
株式会社の清算手続きでは、必ず官報公告を行い、かつ、知れたる債権者に対して個別に解散したことなどを通知する必要があります。

・法務局での審査に難航することもよくある
登記の申請手続きでは、法務局の審査は厳格なため、司法書士でも書類の不備で補正を受けることがあります。補正とは法務局による書類審査上で不備があった場合の通知です。補正通知があった場合は、内容によっては法務局に出向いて書類の内容を訂正する必要が出てきます。法務局の場所や訂正内容によっては半日作業となることもあるでしょう。

・費用削減できるといっても頻繁に必要な手続きではない
会社登記は頻繁に必要な手続きではありません。そのため費用削減の効果としては微妙と言えるでしょう。